共有物分割の請求が権利の濫用とされる場合とは

不動産を共有しているご夫婦の一方の方からのご依頼で、離婚の交渉に伴い、財産分与に先立って共有している不動産の共有物分割を請求したいというご相談を受けることがあります。
財産の共有者による共有物分割請求権自体は民法上も保障された権利であることは間違いないのですが(民法256条)、共有物の分割請求の自由をどこまでも認めることは個別の共有関係に照らして著しく不合理とされることもあり、このような場合にまで共有物分割を認めることは公平でないとして、裁判例は一定の場合にこの共有物分割の自由を制限することを認めています。
今回はこちらについて確認しておきたいと思います。

東京高等裁判所平成26年8月21日判決の示した基準

同判決は「民法258条に基づく共有者の他の共有者に対する共有物分割権の行使が権利の濫用に当たるか否かは、当該共有関係の目的、性質、当該共有者間の身分関係及び権利義務関係等を考慮した共有物分割請求権の行使が実現されることによって行使者が受ける利益と行使される者が受ける不利益等の客観的事情のほか、共有物分割を求める者の意図とこれを拒む者の意図等の主観的事情をも考慮して判断するのが相当であり(中略)、これらの諸事情を総合考慮して、その共有物分割請求権の行使の実現が著しく不合理であり、行使される者にとって甚だ酷であると認められる場合には権利濫用として許されないと解するのが相当である。」と判示しています。
以上をまとめると、下記のような基準として要約できるでしょう。

a.共有の目的等
>当該共有関係の目的、性質や当該共有者間の身分関係及び権利義務関係等

b.共有物分割に関する客観的事情
共有物分割請求権の行使が実現されることによって行使者が受ける利益と行使される者が受ける不利益等の客観的事情

c.共有物分割に関する主観的事情
共有物分割を求める者の意図とこれを拒む者の意図等の主観的事情

d.上記a~cを総合考慮して、その共有物分割請求権の行使の実現が著しく不合理であり、行使される者にとって著しく酷であると認められるか否か

同判決の事案の内容

東京高等裁判所平成26年8月21日判決の事案は、夫が7分の6、妻が7分の1の共有持分を持つ自宅建物(当時夫のみが別居し、妻とその子どもらが当該建物内に居住)について、夫が妻に対して全面的価格賠償(簡単にいうと夫が妻の持分7分の1を買い取ること)を請求して夫の単独所有とすること及び建物の明渡を求めた事案でしたが、裁判所は上記a~dの基準に事案のあてはめを行い、a.本件建物は本来離婚時の財産分与の対象となるべきものであること、b.c.妻は夫から共有物分割の請求と建物明渡の請求を受けて心痛によって精神疾患を罹患したこと、夫が妻との間で2031年までは妻と子供らが本件建物に住んでいてよいと合意していたにもかかわらず、夫は当該合意を覆したこと、夫は有責配偶者と認められること、d.以上の事情を考慮すると、夫による共有物分割請求権の行使は著しく不合理であり、行使される妻側にとっては著しく酷であると認められること、を認定し、夫による共有物分割請求権の行使を権利濫用に当たるとして斥けました。

同判決における裁判所の判断はほぼ妥当なものということができ、夫側の代理人としては、奇手ともいうべき共有物分割請求で妻を攻め立てようなどと考えるのではなく、原則通り離婚における財産分与手続きでの解決を提案すべきではなかったかと考えられる事案です。

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