夫婦間の経済的事情の格差が親権の判断にどこまで影響するか
離婚の際に自らの収入が低いことや夜間働いていることなどを理由にお子さんの親権を諦めてしまう方が珍しくありません。今回は、こうした事情がお子さんの親権の帰属の判断に当たってどこまで影響するのかお話しさせて頂きたいと思います。
相手方より収入が低い場合にも親権者になれるか
パートや派遣、契約社員であるために家族を養うための十分な収入を得られないために親権者になれないのではないかと悩まれる方が少なくありません。しかし、収入額の高低は親権の帰属の判断(これを親権の適格性の判断といいます)に当たり、実はほとんど影響するものではありません。というのも、親権者側の収入の低さは、非親権者からの毎月の養育費の支払という形で補えるものだからです。もっとも、親権者側の収入が低い場合、非親権者による養育費の支払いが滞ることによって親権者世帯が生活に窮することは考えられます。養育費について非親権者側と確実な取り決め(できれば公正証書や調停調書での取り決め)を行うとともに、児童扶養手当などの各種手当の支給、その他公的扶助についてはフルに活用しておくことが親権を獲得するための決め手になると考えられます。
夜間就労などがある場合にも親権者になれるか
別居後の低収入の状況を補うため、夜間就労を続けながらお子さんの親権の獲得を目指す方もいらっしゃいます。
まず、夜間就労がある場合とはいえお子さんを預ける時間が一般的な保育園での保育時間内に収まるケースであればまず夜間就労自体が問題になることはありません。
こうした時間帯を超えて夜間就労されるケースでは、二つのことが問題になると考えられます。それは、①親権者が夜間就労中のお子さんの監護状況と、②親権者とお子さんが共に過ごせる時間がどの程度確保できるか、その時間をどのように過ごせるか、です。
弊事務所における経験実績例としても、お子さん方の夜間就寝中は祖父母が代わって監護し、日中のお子さんの監護にも夜間就労が大きく影響しないという状況さえ作り出せれば、夜間就労の事実は大きな問題ではないといえます。
一方で、日中と夜間の就労のため親権者がお子さんと接する時間がほとんど取れない場合などは監護補助者を置くこと、例えばベビーシッターを依頼するなどして対応し、親権者適格性に問題がないことをアピールすることも検討されるとよいでしょう。
まとめ
結局、夫婦間の経済的格差が親権者の適格性判断にあたりそれほど重要な要素ではないということを考慮すると、お子さんの親権獲得を目指して無理に夜間就労をされる必要はないといえそうです。かえってお子さんと長時間ふれあうことでお子さんとの濃密で健全な関係を築きやすくなるという意味で、長時間労働や夜間労働はない方が親権者適格性の判断にあたってはベターといえるかもしれません。
離婚や男女問題でお困りの方がいらっしゃいましたら、是非お気軽に弊事務所までご相談頂くことをおすすめ致します。