土地賃貸借

普通借地権

普通借地権とは

建物の所有を目的とする土地の賃貸借については、民法ではなく借地借家法という特別法が適用されます。この借地借家法は平成4年8月1日に施行されておりますので、以下では同日以降に成立した建物の所有を目的とする土地の賃貸借についてご説明しております。

借地権の存続期間

借地権の存続期間は発生後30年間が原則であり(3条)、これより短い期間を定めても無効となり、30年間の借地契約となります(9条)。借地人の保護の要請による規定です。一方、契約でこれより長い期間を別途定めたときは、その期間となります(3条)。

借地契約の更新

当事者が合意により借地契約を更新する場合(これを「合意更新」といいます)においては、その期間は、更新の日からさらに10年(借地権の設定後の最初の更新のみ20年)となります。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間となります(4条)。この規定に反する特約で借地権者に不利なものは無効です(9条)。借地権者を保護するための規定です。
一方、借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の合意更新によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。これを法律上当然に更新されるという意味で「法定更新」といいます。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでありません(5条1項)。
また、借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様、借地権者の更新請求により契約は更新したものとみなされます(5条2項)。これも法定更新の一種です。
転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間の更新請求の規定が適用されます(5条3項)。
この規定に反する特約で借地権者に不利なものは無効となります(9条)。

異議の正当事由とは

借地権設定者(土地所有者)の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができないものとされています(6条)。

異議の正当事由の諸要素

  • 借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む)が土地の使用を必要とする事情
  • 借地に関する従前の経過及び土地の利用状況
  • 借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付(いわゆる「立退料」の支払い)をする旨の申出をした場合におけるその申出

この規定に反する特約で借地権者に不利なものは無効となります(9条)。

建物の再築による借地権存続期間の延長

借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者(土地所有者)の承諾がある場合に限り、借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から20年間存続します。ただし、残存期間がこれより長いとき、又は当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間によります(7条1項)。建物の再築による借地権の存続期間の延長を認めた規定であり、借地権者にとってはかなり有利といえます。
借地権者が借地権設定者(所有者)に対し残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造する旨を通知した場合において、借地権設定者がその通知を受けた後2ヶ月以内に異議を述べなかったときは、その建物を築造するにつき前項の借地権設定者の承諾があったものとみなされます。ただし、契約の更新の後に通知があった場合においては、この限りでありません(7条2項)。
借地上に転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする建物の築造を借地権者がする建物の築造とみなして、借地権者と借地権設定者との間について第1項の規定が適用されます(7条3項)。
この規定に反する特約で借地権者に不利なものは無効となります(9条)。

借地契約の更新後の建物の滅失による解約等

借地契約が更新された後に建物の滅失が生じた場合においては、借地権者は、借地権設定者(土地所有者)に対し、借地人が借地に対して保有する権利に応じて地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができます(8条1項)。
前項に規定する場合において、借地権者が借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、借地権設定者は、借地人に対して地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができます(8条2項)。
これらの場合において、借地権は、地上権の放棄若しくは消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れがあった日から3カ月を経過することによって自動的に消滅します(8条3項)。
第1項に規定する地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをする権利は、第2項に規定する地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをする権利を制限する場合に限り、制限することができます(8条4項)。
借地上に転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする建物の築造を借地権者がする建物の築造とみなして、借地権者と借地権設定者との間について第2項の規定が適用されます(8条5項)。
この規定に反する特約で借地権者に不利なものは無効となります(9条)。

借地権の対抗力とは

借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができます(10条1項)。これを借地権の対抗力といいます。
この場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有します。ただし、建物の滅失があった日から2年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限られます(10条2項)。
この規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは無効となります(16条)。

地代等増額・減額請求権について

地代(地上権の場合)または土地の借賃(土地賃借権の場合)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができます。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従うことになります(11条1項)。これを借地権設定権者の地代等増額・減額請求権といいます。
地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた借地権者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足ります。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期経過以降の利息を付してこれを支払わなければならなりません(11条2項)。
地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた借地権設定者(土地所有者)は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができます。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払いを受けた額が裁判で正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければなりません(11条3項)。

借地権設定者(土地所有者)の先取特権

借地権設定者は、弁済期の到来した最後の2年分の地代等について、借地権者がその土地において所有する建物の上に先取特権を有し、他の債権者に先立ち優先的にこれを回収する権利を有します(12条1項)。
前項の先取特権は、地上権又は土地の賃貸借の登記をすることによって、その効力を保存します(12条2項)。
第1項の先取特権は、他の権利に対して優先する効力を有します。ただし、共益費用、不動産保存及び不動産工事の先取特権並びに地上権又は土地の賃貸借の登記より前に登記された質権及び抵当権には後れます(12条3項)。
前3項の規定は、転借地権者がその土地において所有する建物について準用されます(12条4項)。

第三者の建物買取請求権

借地権者・借地権設定者(土地所有者)以外の第三者が賃借権の目的である土地の上の建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を取得した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、その第三者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができます(14条)。衡平の観点から設けられた規定です。
この規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは無効です(16条)。

自己借地権

借地権を設定する場合においては、他の者と借地権を共に有することとなるときに限り、借地権設定者(土地所有者)が自らその借地権を有することができます(15条1項)。これを自己借地権といいます。
この自己借地権が成立する場合、ある人物の土地所有権の上に同一人物の借地権が併存する形になりますが、法律上混同は生じず、借地権は消滅しないこととされています(15条2項)。
これは、地主が自己所有土地上に予め分譲予定の区分所有建物(マンション)を建築し、敷地利用権を借地権として専有部分を販売するような場合に利用されています。この場合、地主は土地所有権から借地権を切り出して敷地権として登記した上で販売できるようにする必要がありますが、このような場合に自己借地権が活用できるのです。

借地条件の変更及び借地権設定者の承諾に代わる増改築の許可

建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができます(17条1項)。裁判所の判決による借地条件の変更が認められているのです。
増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます(17条2項)。借地権者は、借地上建物の増改築について、裁判所の裁判によるその増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を求めることができるのです。
裁判所は、前2項の裁判をする場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができます(17条3項)。当事者間の衡平への配慮に基づく柔軟な解決を可能とする規定です。
裁判所は、前3項の裁判をするには、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮しなければなりません(17条4項)。
転借地権が設定されている場合において、必要があるときは、裁判所は、転借地権者の申立てにより、転借地権とともに借地権につき第1項から第3項までの裁判をすることができます(17条5項)。
裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項から第3項まで又は前項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければなりません(17条6項)。
17条に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは無効となります(21条)。
借地条件の変更及び借地権設定者の承諾に代わる増改築の許可を求める裁判手続については、41条以下で規定されています。

借地契約更新後の建物の再築の許可

借地契約が更新された後において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者(土地所有者)がその建物の築造を承諾しないときは、借地権設定者が地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、延長すべき借地権の期間として7条4項の規定による期間と異なる期間を定め、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができます(18条1項)。借地権者は借地権設定者(土地所有者)が借地契約更新後の建物の再築の許可を拒む場合もその許可を求めて裁判所に申立てを行うことが認められているのです。
裁判所は、前項の裁判をするには、建物の状況、建物の滅失があった場合には滅失に至った事情、借地に関する従前の経過、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。)が土地の使用を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければなりません(18条2項)。
17条5項及び6項の規定は、1項の裁判をする場合に準用されます(18条3項)。
18条に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは無効となります(21条)。
借地契約更新後の建物の再築の許可を求める裁判手続については、41条以下で規定されています。

土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可

借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができます(19条1項)。借地権者が土地賃借権を譲渡・転貸しようとする場合に合理的理由なく借地権設定者(土地所有者)がこれを拒絶する場合は、その許可を求めて裁判所に申し立てを行うことが認められているのです。
裁判所は、前項の裁判をするには、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければなりません(19条2項)。
第1項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができます。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができます(19条3項)。
第3項の申立ては、第1項の申立てが取り下げられたとき、又は不適法として却下されたときは、その効力を失います(19条4項)。
第3項の裁判があった後は、第1項又は第3項の申立ては、当事者の合意がある場合でなければ取り下げることができません(19条5項)。
裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項又は第3項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければなりません(19条6項)。
前各項の規定は、転借地権が設定されている場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用されます。ただし、借地権設定者が第3項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければなりません(19条7項)。
19条に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは無効となります(21条)。
土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可を求める裁判手続については、41条以下で規定されています。

建物競売等の場合における土地の賃借権の譲渡の許可

第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができます(20条1項)。第三者が建物を競売で取得した場合に借地権設定者(土地所有者)が土地の賃借権の譲渡を承諾しない場合は、その承諾を求めて裁判所に申し立てを行うことが認められているのです。
19条第2項から第6項までの規定は、前項の申立てがあった場合に準用されます(20条2項)。
第1項の申立ては、建物の代金を支払った後2ヶ月以内に限りすることができます(20条3項)。
民事調停を申し立てた場合、調停終了後2週間以内に第1項の申立てをすれば、前項の期間内に申し立てがあったものとみなされます(20条4項)。
前各項の規定は、転借地権者から競売又は公売により建物を取得した第三者と借地権設定者との間について準用されます。ただし、借地権設定者が第2項において準用する前条第3項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければなりません(20条5項)。
建物競売等の場合における土地の賃借権の譲渡の許可を求める裁判手続については、41条以下で規定されています。

以上

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