夫が妻に慰謝料代わりで贈与した不動産。財産分与の対象になるの?

夫婦が婚姻中に一方の配偶者に不貞行為や遺棄(一方が他方の経済上の面倒を看てこなかったこと)があった場合、他方の配偶者が持つ不満を和らげる趣旨で不動産などの財産が贈与されることがあります。
今回は不動産を例にとって考えてみたいと思いますが、このような場合、一方配偶者は実際に離婚に発展した場合、他方配偶者に対して一旦贈与した不動産の財産分与を請求することができるのでしょうか?

この点、夫婦の婚姻関係破綻時(通常は別居開始時)に夫婦がそれぞれ所有する財産はそれぞれの特有財産を除いて全て財産分与の対象となるのが原則ですから、ここでは一方配偶者が慰謝料の趣旨で他方配偶者に贈与した不動産が特有財産に当たるのかどうかが問題となります。
ここでは「本件贈与は、抗告人が相手方による不貞行為を疑い、現に相手方による不貞行為を疑われてもやむを得ない状況が存在した中で、長女の提案により、抗告人の不満を抑える目的でされたものであることからすると、婚姻継続中ではあるものの、確定的にその帰属を決めたもので、清算的要素を持ち、そのような場合の当事者の意思は尊重すべきであるから、本件贈与により本件不動産は、抗告人の特有財産になったと認めるべきである。」と判示した平成23年2月14日大阪高等裁判所決定の存在が参考となります。
実際小職の担当事件においても家庭裁判所(第一審)で夫が長年家庭を蔑ろにしてきた代償として婚姻中妻に贈与した不動産(マンションの一室)につき、妻の特有財産と認定して財産分与の対象とはしないという判決を獲得しております。

ただし、上記の高裁決定には「なお、特有財産であっても特段の事情が認められる場合には、財産分与とすべき場合もあるが、抗告人と相手方と甲(不貞相手)との親密な関係が影響を及ぼしていることは否定できないこと、本件贈与のうち夫婦共有財産の部分について相手方の持分相当額は500万円程度であることに加え、当事者双方の生活水準等を併せ考慮すると、抗告人が本件贈与により取得した特有財産を清算の対象としなければ公平の観点や社会通念上不当であるような特段の事情は認められない。」とのなお書きが付記されており、この点は注意が必要です。いかに慰謝料目的での財産の移転であっても、不相当に高額な贈与は贈与された者の特有財産にはあたらない(=離婚時の財産分与の対象になる)という可能性がありますので、この点は注意が必要です。
離婚や男女問題でお困りの方がいらっしゃいましたら、是非弊事務所までお気軽にご相談くださいますようおすすめいたします。

コラム:離婚・男女問題

無料相談受付中です。お気軽にお申し込みください

044-589-8810(相談対応時間 平日・土日祝日 9:30~22:00)

ご相談は面談のみとなります(お電話でのご相談は受け付けておりません)。

メールでのご依頼・ご相談24時間受付

営業時間 平日 9:30~18:00

初回30分無料相談・空きがあれば当日相談いたします・ご予約で時間外・土日祝日も相談対応いたします

無料相談受付中

お気軽にご相談ください。

044-589-8810(相談対応時間 平日・土日祝日 9:30~22:00)

ご相談は面談のみとなります(お電話でのご相談は受け付けておりません)。

メールでのご依頼・ご相談24時間受付

営業時間 平日 9:30~18:00

マラソンと日本酒をこよなく愛する弁護士のマンション管理コラム

専門家ネットワーク

  • 弁護士
  • 税理士
  • 司法書士
  • 不動産鑑定士
  • 土地家屋調査士
  • その他の専門家
交通アクセス
主なお客様対応エリア:川崎市全域、横浜市全域、大田区、品川区、世田谷区
弁護士プロフィール