別居開始後算定表を上回る金額の婚姻費用を支払ってきた場合、離婚時の財産分与の際に分与対象財産から控除してもらえるか?

収入で上回る配偶者が別居開始後、別居中の相手方配偶者に対して標準算定方式に基づく婚姻費用算定表の相場金額を上回る金額を婚姻費用として毎月支払ってきた場合、相場金額を上回って婚姻費用を支払い続けた側の配偶者は、払い過ぎた婚姻費用の金額を離婚時の財産分与の際に財産分与対象財産から控除することを家庭裁判所に求めることができるのでしょうか。

この点、参考となる裁判例が二つあるため、ご紹介したいと思います。

まず第一の裁判例では、夫婦生活が円満に推移している間に夫婦の一方が「過当」に婚姻費用を負担した場合であっても、その清算を要する旨の合意があるなど特段の事情がない限り、これを財産分与において考慮することはできないと判断しました(高松高等裁判所平成9年3月27日判決)。

また、別の裁判例は、標準算定方式に基づいて算定した金額を上回る部分の婚姻費用の支払いについて、財産分与の前渡しと評価できるとした原審判を変更し「当事者が自発的に、あるいは合意に基づいて婚姻費用分担している場合に、その額が当事者双方の収入や生活状況に鑑みて著しく相当性を欠くような場合であれば格別、そうでない場合には、当事者が自発的に、あるいは合意に基づいて送金した額が、審判をする際の基準として有用ないわゆる標準算定方式・・・に基づいて算定した金額を上回るからといって、超過分を財産分与の前渡しとして評価することは相当でない」とし、約14年間別居した夫婦について夫が送金していた、賞与を除く給与の月額手取り額の2分の1をやや下回る額(月額平均約24万円)が著しく相当性を欠いて過大であったとはいえないと判断し、財産分与手続きでの考慮を否定しました。

このように、これまでの裁判例では過去に支払われた婚姻費用分担額が「過当」なものかどうかにつき、婚姻費用を支払い過ぎたと感ずる側にはややシビアな判断がなされています。

簡略ではありますが以上を要約すると「当事者が自発的にあるいは合意に基づいて婚姻費用を分担している場合には、婚姻費用分担額がいわゆる算定表の金額を上回っているからといって婚姻費用分担額の一部を財産分与の前渡しとして考慮してもらうことは一般に困難である」といえそうです。

以上のような事情から、婚姻費用の分担額については多少支払い過ぎても後で調整が効くなどと安易に考えず、夫婦それぞれの収入や生活状況に基づき適正な婚姻費用分担額を見定めてからの合意をおすすめしております。

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コラム:離婚・男女問題

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