婚姻費用とは~②「算定表」について・一般解説編~

婚姻費用の「算定表」とは

婚姻費用(養育費も)の算定については、審理を簡便に進め婚姻費用を迅速に算定することを目指し、平成15年に東京家裁や大阪家裁の裁判官が中心となって養育費・婚姻費用算定表 (いわゆる「算定表」)が作成されました。その後、この算定表が広く家裁の実務で採用され実務に普及する状況となっております。

婚姻費用算定のベースとなる「基礎収入」とは

この算定表を使ってどのように婚姻費用を算定するかですが、婚姻費用を算定するには、まず義務者(支払い側)及び権利者(受け取り側)の総収入額から生活にかかる諸経費等(公租公課、職業費及び特別経費)を差し引いた婚姻費用に充てられるべき基礎となる収入 (基礎収入)を算出する必要があります。このように、 算定表は、実際にかかった諸経費等の額を総収入から控除するのではなく、簡易かつ迅速な算定のた めにあくまで「税法等で理論的に算出された標準的な割合」と「統計資料に基づいて推計され標準的な割合」をもとに控除経費額を推計するという考え方に基づいて作成されておりますので、この点は注意が必要です。 具体的には、給与所得者の場合、通常源泉徴収票の「支払金額」が総収入に当たり、基礎収入は総収入の42~34%の範囲となります。一方自営業者の場合、一般的には確定申告書の「課税される所得金額」が総収入に当たり、基礎収入は総収入の5~37%の範囲となります。

「生活費指数」とは

こうして双方の基礎収入を算出した上で、夫婦双方及び子の人数、子のそれぞれの年齢等に応じた標準的な生活費の割合 (生活費指数) に応じて支払うべき婚姻費用を算出することになります。算定表では生活費指数を、①親、②0歳から14歳までの子、③15歳から19歳までの子という3区分に単純化しておりますので、簡易迅速に婚姻費用の目安を算定することが可能となります。

総収入額の認定はどうするか

婚姻費用を算定するために算定表を利用する場合はもちろん、算定表が利用できない場合であっても(収入額や子どもの数が枠を超えていて算定表が利用できないケースというものも存在します)、夫婦双方の総収入額を認定するというのがまずはとても重要な作業となることに疑いはありません。
この点、夫婦の総収入額を認定するにあたっては通常下記のような資料から金額を把握しております。

  • 源泉徴収票
  • 確定申告書
  • 課税証明書

いずれにしても当事者の申告だけでは事足りず客観的な資料の提出が要求されます。
給与所得者はこのうち源泉徴収票の「支払金額」、自営業者はこのうち確定申告書の「課税される所得金額」が総収入額となります。転職などで収入額に変動が見られる場合には最新の収入額のトレンドを把握するため、別途給与明細書などを提出してもらい、そこから最新の総収入額の算定を行うこともあります。
また、一時的に失業しているケースでも、就労可能な状況であれば、性別や学歴、資格経験、賃金センサスなどを考慮して総収入額が算定されることになるものと考えられます。賃金センサスは交通事故事件における休業損害や逸失利益の損害賠償額の算定に用いられるもので、公益財団法人日本弁護士連合会交通事故相談センター東京支部が発行する通称「赤本」といわれるものを参照することで把握することができます。
専業主婦の場合も、やはり就労可能な状況であれば、 実際は稼働していなくても、潜在的稼働能力としてパート収入程度の収入(年 120万円程度)があるとして算出される場合もあります。

次回は、家庭裁判所実務で用いられる婚姻費用の「算定表」の個別事例について解説してまいります。

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